夕方の保育園の事務室で、職員のファイルを開いて資格証の写しを一枚ずつ確かめている事務担当者

保育園の職員名簿と資格証|保育士登録の確認と氏名変更の進め方

夕方、監査の書類をそろえていたときのことです。

職員のファイルを一冊ずつ開いて、資格証の写しにチェックを入れていく。順調に進んでいたのに、あとふたりというところで手が止まりました。写しが、ない。採用のときに見せてもらった記憶はあるのに、どこに綴じたのか思い出せない。

もうひとつ、名簿を見ていて気づきます。去年結婚された職員の名字が、名簿では新しい名前になっているのに、資格証の写しは旧姓のまま。これは、このままでいいんだったっけ。

こういうことは、決して珍しくありません。人が入って、人が抜けて、名前が変わって、担当も変わる。そのたびに少しずつ、書類と実態がずれていきます。誰かが手を抜いたわけではなく、日々の忙しさの中で自然に起きることです。

今日は、この職員名簿と資格証まわりを、一度そろえて、そのあと自然に保たれる形にしていきましょう。

結論:職員の資格まわりは、①名簿を1枚に集約する → ②入職のときに原本を目で見て、写しを1か所に綴じる → ③名前が変わったら、園の書類と資格証の両方を直す、の3つでほぼ回ります。とくに③は忘れられやすく、保育士証の氏名を変えるには「書換え交付」という手続きが要ります(園ではなく本人の手続きですが、園から案内するとスムーズです)。名簿と資格証がそろっていると、監査のときに探す時間がほとんどかからなくなります。
職員の資格確認の流れを、原本を見る・写しを綴じる・名簿に書く、の三つの場面で示した図
入職のときにこの3つをその場で通してしまうと、あとから探し回らずにすみます。

何が起きているか|「あるはず」が確かめられない状態

職員の資格の確認は、入職のときに一度だけ発生する仕事です。だから、そのときにきちんとやっていても、時間が経つと次のような状態になりやすいのです。

そして、ここがいちばん大事なところですが——これらは、あとから困る場面がはっきりしています。

監査や指導のときに、職員名簿と資格の確認を求められる場面があります。処遇改善等加算や各種の加算でも、職名や資格の状況を書類に落とす必要が出てきます。配置基準を満たしているかを説明するときにも、「この人は保育士」「この人は保育補助」を根拠つきで示せることが前提になります。

つまり、資格まわりの書類は、単体では使わないのに、いろいろな場面から呼び出される土台の情報なのです。ここが整っていないと、そのたびに一から探すことになります。逆に言えば、ここを一度そろえておくと、あとの仕事がまとめて軽くなります。

そしてもうひとつ。資格証の確認は、職員を疑うための作業ではありません。園として「この配置で大丈夫です」と胸を張って言えるようにするための作業です。ここの気持ちの置きどころが変わると、職員へのお願いの仕方も自然と柔らかくなります。

手順1:職員名簿を、1枚にまとめる

まず、名簿です。園にいくつか名簿がある場合は、「大もとはこれ」という1枚を決めます。他は、そこから写して作るものと位置づけます。どれを大もとにするかは、いちばんよく更新しているものでかまいません。

大もとの名簿に入れておきたい項目は、次のとおりです。

項目書くことメモ
氏名(ふりがな)現在の氏名旧姓で登録が残る書類があるため、旧姓欄もあると便利
生年月日—同姓同名の職員がいるときの区別にも使う
職名園長・主任・保育士・保育補助・栄養士・調理員・看護師・事務 など加算の書類と言葉をそろえておく
雇用形態常勤/非常勤、正職員/パート配置や加算の計算につながる
勤務時間週の所定労働時間常勤換算の計算に使う
採用年月日—有給の付与日、経験年数の計算に使う
保有資格保育士/幼稚園教諭/栄養士/管理栄養士/調理師/看護師 など複数持っている人はすべて書く
資格の登録番号資格証に書かれている番号資格ごとに番号の呼び方が違うので、そのまま写す
登録(免許)年月日資格証に書かれている日付—
原本確認日・確認者「◯年◯月◯日 事務◯◯が原本確認」ここがいちばん効きます
備考育休中、休職中、氏名変更あり など変更の履歴を残す場所

このうち、いちばん効くのは「原本確認日・確認者」の欄です。あとから「これ、本当に原本を見たんだったかな」と迷わなくなります。監査で聞かれたときにも、その場で答えられます。

作る形は、表計算ソフト(Excel や Google スプレッドシート)が扱いやすいと思います。紙でも構いませんが、名前の変更や職名の変更が入るたびに書き直すことになるので、データのほうが続けやすいです。名簿がいくつもある状態をどう整理するかは、二重入力をなくす名簿・台帳の一元管理にも書いています。

なお、この名簿は職員の個人情報のかたまりです。共有フォルダに置く場合は、誰が開けるかを決めてから置きます。園長・主任・事務までにしておくのが無難です(園の個人情報を保管・共有するときの基本ルール)。

手順2:資格証は、入職のときに「原本を見る・写しを綴じる」

資格の確認は、入職の日にその場で終わらせるのがいちばん楽です。あとから「持ってきてください」とお願いするのは、頼むほうも頼まれるほうも気が重くなります。

何を見るか

保育士の場合、見るのは保育士証です。都道府県知事が交付するもので、次のようなことが書かれています。

ここで押さえておきたいのが、保育士証には有効期限がなく、更新の手続きもないということです。「期限が切れていないか」を毎年見る必要はありません。見るべきなのは、氏名が今の氏名と合っているかのほうです。

混同されやすいのですが、幼稚園教諭免許にあった更新制(教員免許更新制)は2022年7月に廃止されています。幼稚園教諭免許を持つ職員に「更新講習を受けてください」と案内する必要はありません。

保育士以外の資格も、基本の考え方は同じです。

資格見る書類ひとこと
保育士保育士証(都道府県知事)期限なし。氏名の一致を見る
幼稚園教諭教育職員免許状(都道府県教育委員会)更新制は2022年7月に廃止
栄養士栄養士免許証(都道府県知事)—
管理栄養士管理栄養士免許証(厚生労働大臣)栄養士免許とは別の証書
調理師調理師免許証(都道府県知事)—
看護師・准看護師看護師免許証など准看護師は都道府県知事、看護師は厚生労働大臣
子育て支援員研修修了証書資格ではなく研修修了。混同しないように

「保育士資格を持っていない職員」がいること自体は、何も問題ではありません。保育補助や子育て支援員として働いている方はたくさんいます。大事なのは、名簿の上で、誰が保育士で誰がそうでないかがはっきりしていることです。ここが曖昧なままだと、配置基準の説明のときに困ります(保育士の配置基準を満たすシフトの組み方)。

原本を見る、という一手間

写しをメールやスマホの写真で送ってもらう園も増えました。ただ、入職のときに一度だけは、原本を目で見せてもらうようにしておくと安心です。難しいことをするわけではなく、こう伝えるだけです。

「入職の書類をおそろえいただくときに、保育士証の原本を一度お持ちいただけますか。こちらで拝見して、その場で写しをとってお返しします。原本をお預かりすることはありませんので、ご安心ください。」

「その場で返す」「預からない」を先に言うのがコツです。資格証は本人にとって大事なものなので、預けることに不安を感じる方もいます。

写しをとったら、その場で名簿に「◯年◯月◯日 原本確認 事務◯◯」と書き込みます。この10秒が、半年後の自分をずいぶん助けてくれます。

写しの綴じ方

写しは、職員ごとのファイルにまとめるのがおすすめです。資格証だけを別ファイルにすると、退職時に抜き忘れが起きます。

職員ファイルの中身は、たとえばこんな並びです。

  1. 履歴書
  2. 労働条件通知書・雇用契約書の控え
  3. 資格証の写し(複数持っていれば全部)
  4. 健康診断の結果(職員の健康診断・ストレスチェックの記録)
  5. 誓約書・個人情報の取扱いに関する書面
  6. 研修の受講記録

そして、ファイルの背表紙に職員名と、先頭に中身の一覧をつけておくと、引き継ぎのときに強いです。入職時に集める書類の全体像は、職員の入職・退職時の手続きと書類の流れにまとめています。

保管期間は、労務関係の書類として法人のルールに合わせます。園の中で保存年限がばらばらになりがちなところなので、一覧にしておくと迷いません(文書の保存年限一覧の作り方)。

手順3:名前が変わったときが、いちばんの山

結婚や離婚で氏名が変わる。ここが、資格まわりでいちばん抜けやすいところです。

園の中の書類(名簿、雇用契約、賃金台帳、社会保険)は、事務が動くので比較的そろいます。抜けるのは、資格証そのものです。

保育士証は「書換え交付」

保育士登録は、氏名や本籍地の都道府県が変わったときに、登録の変更と保育士証の書換え交付を申請することになっています。これは園ではなく本人の手続きです。ただ、本人は「そんな手続きがあるとは知らなかった」ということが本当に多いので、園から一声かける価値があります。

申請の窓口は、登録を受けた都道府県です。実際の受付事務は、多くの都道府県で「登録事務処理センター」が引き受けています。申請の用紙や必要書類、手数料、送り先は、その都道府県の案内に従います。園が代行するものではないので、案内するところまでにしておくのが線引きとしてちょうどよいところです。

伝え方の例です。

「このたびはおめでとうございます。園の書類はこちらで直していきますね。
ひとつだけ、保育士証はご本人の手続きになるものがありまして。お名前が変わったときは、登録した都道府県に『書換え交付』の申請を出す形になっています。すぐでなくて大丈夫ですが、監査などで資格証を確認する場面があるので、落ち着いたころにお手続きいただけると助かります。
申請の用紙や送り先は、こちらで都道府県の案内を印刷してお渡ししますね。」

「園の書類はこちらで直します」を先に言うと、負担感がずいぶん減ります。そのうえで、本人の手続きはひとつだけ、と伝えます。

なお、書換えが済むまでの間も、その人が保育士であることは変わりません。園の名簿の備考欄に「◯年◯月 氏名変更、書換え交付を申請中」と書いておけば、監査で聞かれても説明がつきます。慌てて急かす必要はありません。

資格によっては、期限が決まっているものもある

資格の種類によっては、氏名などが変わったときの届出に「◯日以内」といった期限が決まっているものがあります。たとえば看護師や栄養士、調理師の免許は、名簿(籍)の訂正の申請について期限の定めがあります。

ここは資格ごとに違うので、その資格の交付元(厚生労働省、都道府県の担当課など)の案内で確認するのがいちばん確実です。園としては、氏名変更の連絡を受けたときに「お持ちの資格の分も、変更の届出が要るかもしれません。交付元の案内をご確認いただけますか」と一言添えられれば十分です。

紛失・汚損したとき

「資格証をなくしてしまった」という相談を受けることもあります。この場合は再交付の申請になります。これも本人の手続きです。

このときも、責める言い方はしません。

「見つからないことはよくあります。再交付の申請ができるので、そちらで進めましょうか。案内を印刷しますね。」

再交付には日数がかかることがあるので、監査の直前に発覚すると慌てます。だからこそ、入職時と、年に一度の見直しのタイミングで確かめておきたいのです。

手順4:年に一度、まとめて見直す

一度そろえても、時間が経てばまたずれます。続けるための仕掛けは、年1回で十分です。

おすすめは、年度がわりの少し前(2月〜3月)か、指導監査の案内が来たタイミングです。前者のほうが、慌てずに済みます。

見直すのは、この5点だけです。

  1. 在籍している職員が、全員名簿に載っているか(年度途中の入職者が抜けやすい)
  2. 退職した職員が、名簿から外れているか(別シートに移して履歴として残す)
  3. 職名・雇用形態・勤務時間が、今の実態と合っているか(途中でパートから常勤になった人など)
  4. 氏名が変わった人の資格証が、新しい氏名になっているか
  5. 資格証の写しが、全員分そろっているか

作業は、名簿を印刷して、ファイルを1冊ずつ開いて突き合わせるだけです。職員が20人なら、1時間もかかりません。

このとき、キャリアアップ研修の受講状況もあわせて確認しておくと、処遇改善等加算Ⅱの書類づくりのときに楽になります(キャリアアップ研修と処遇改善加算Ⅱを結びつけて管理する)。資格と研修は別のものですが、見るタイミングは同じでいいのです。

明日やること

全部を一度に整えなくて大丈夫です。明日は、次のどれかひとつで十分です。

確認チェックリスト

名簿

資格証

変更があったとき

続ける仕組み

整理された職員ファイルの棚の前で、事務担当者と保育士が向かい合って穏やかに笑っている場面

職員名簿と資格証の管理は、誰かに褒められる種類の仕事ではありません。そろっていて当たり前、抜けていたときだけ話題になる。そういう仕事です。

でも、この土台があるから、監査の書類が短時間でそろい、加算の申請でつまずかず、「うちの園は保育士が何人います」と迷いなく言えます。園が安心して回っていることの、いちばん下の段を作っているのが、この作業です。

もし今、写しが見つからない職員がいても、それは仕事が雑だったからではありません。人が入れ替わり、名前が変わり、担当が代わっていく現場では、放っておけばずれるのがふつうです。ずれに気づいて、直そうと思ったところから整い始めます。

明日は、ファイルを3冊開くところからで十分です。1冊ずつ確かめていけば、必ずそろいます。

よければ、こちらも

職員まわりの書類を、もう少し楽にしたいときに。

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